25人が本棚に入れています
本棚に追加
「あきれるほど陳腐なセリフだな」
男性はなんの感情もなく応じる。
「なんだと!」
金髪が気色ばむ。
「さて、痛い目を見るということだが」
青年は嘲笑を浮かべた。
「そのままそっくり返してやろう」
男性の目が月の光をうけて青銀に光った。
「痛いと思う暇があればな」
青年はカッと目を見開くと、すばやく金髪を倒した。金髪は地面に倒れたままぴくりとも動かない。
「は!?」
萌々香をかかえた一人が声をあげる。
次の瞬間には残り二人も倒れ、うめき声をあげた。
萌々香は青年の両腕に抱えられていた。
何が起きたのか、彼女にはさっぱりわからなかった。ただ、助けられたことだけはわかった。
「ありがとうござ……」
謝辞は途中で切れた。
その目は、ありえないものをとらえていた。
スーツの男性の首から上が、人間のものではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!