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「あきれるほど陳腐なセリフだな」  男性はなんの感情もなく応じる。 「なんだと!」  金髪が気色ばむ。 「さて、痛い目を見るということだが」  青年は嘲笑を浮かべた。 「そのままそっくり返してやろう」  男性の目が月の光をうけて青銀に光った。 「痛いと思う暇があればな」  青年はカッと目を見開くと、すばやく金髪を倒した。金髪は地面に倒れたままぴくりとも動かない。 「は!?」  萌々香をかかえた一人が声をあげる。  次の瞬間には残り二人も倒れ、うめき声をあげた。  萌々香は青年の両腕に抱えられていた。  何が起きたのか、彼女にはさっぱりわからなかった。ただ、助けられたことだけはわかった。 「ありがとうござ……」  謝辞は途中で切れた。  その目は、ありえないものをとらえていた。  スーツの男性の首から上が、人間のものではなかった。
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