ぴょん

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 おたまじゃくしが成長して蛙になりました。雨蛙です。  雨蛙は美しい色をしています。背景によって、様々な色に変化します。  蛙の生まれた川の背後には大きな山がありました。 「てっぺんまで高く飛びたいな」  蛙は、ぴょんっと飛び跳ねました。外は暑いです。草むらの端っこで飛び跳ねて、そのままぽちゃんと川に飛び込みました。  水は冷たくて気持ちがいいです。ゆっくりと山の方から流れてきます。  すると、どすんと音がしました。  そして、川全体が揺れました。  蛙はびっくりして、溺れそうになってしまいました。蛙は頭だけ水面に出して言いました。 「いったい何が起きたのだろう」  その音は山の方から聞こえてきました。大きな音でした。水に潜っていたってはっきり聞こえたのですから。  蛙はもう一度地上に戻って、今度は真上にジャンプしました。  ぴょん。  そのまま、すとん。地面に着地しました。  蛙はじっとして、山の方を見つめます。  すると、ぴょん。  山がジャンプしたのです。  山は高く飛び上がって、そのまま、どすん。  地面が揺れました。蛙はびっくりして川に飛び込みました。ぴょん。ぽちゃん。  蛙が潜る瞬間、ぴょんという音が聞こえました。  蛙が全身潜り終えると、どすん。  またまた大きな音が響いてきました。  蛙は段々分かってきました。順番に考えていきます。 「つまり、俺と同じ青色をしたあの山は、俺と同じでジャンプすることができるんだな。ふむふむ」  蛙は更に考えました。 「つまり、俺と同じ青色をしたあの山は、俺がジャンプすると、つられてジャンプしちゃうんだな。ふむふむ」  蛙は面白くなって、ジャンプしたり、静止したり、水に飛び込んでみたりしました。  ぴょん。すとん。  ぴょん。どすん。  しーん。  しーん。  ぴょん。ぽちゃん。  ぴょん。どすん。
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