序章 神の放物線 19

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序章 神の放物線 19

「でも、変なんよの」    藤津は、中途半端(ちゅうとはんぱ)に手を()かせたまま、話を続ける。 「あの日の五限目(ごげんめ)って、俺らは体育じゃったじゃん。外から帰ってきた時、二年生の教室が並ぶ二階の廊下(ろうか)で見かけたんよ」  藤津の話を聞きながら、矢儀は、ちょっとずつ地図を引っ張る。  一応(いちおう)「何を?」と、顔も()げずに()いた。 「じゃけぇ、岡屋多恵をだよっ!」    語尾(ごび)と共に、藤津がまた、(いきお)いよく机を(たた)く。  ちょっとずつ手前(てまえ)に引き寄せていた地図に、(いや)(あつ)()かった。
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