序章 神の放物線 24

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序章 神の放物線 24

 正直(しょうじき)普通(ふつう)は考えられない。  二階から三階に()がる階段(かいだん)(おど)()(おく)には、中央棟の屋上(おくじょう)テラスへ(つな)がる(わた)廊下(ろうか)もある。  マトモであれば、自分が今、何階(なんかい)にいるかわかるだろう。  だが、岡屋多恵(おかやたえ)()んでいた。  そのため、マトモな感覚(かんかく)では理解(りかい)できない勘違(かんちが)いも、()こるのかもしれない。  ()()()げやりな返答(へんとう)に、しかし藤津(ふじつ)は「なるほど」と案外(あんがい)素直(すなお)に受け取る。 「確かに、挙動不審(きょどうふしん)じゃったわ。  (うわさ)じゃけど、最近(さいきん)は、女子(じょし)(あいだ)流行(はや)っている(うらな)いに一喜一憂(いっきいちゆう)して、躁鬱病(そううつびょう)拍車(はくしゃ)をかけちょったらしいしの」
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