序章 神の放物線 25

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序章 神の放物線 25

 器用(きよう)片方(かたほう)口角(こうかく)だけを()げて、藤津(ふじつ)は、教室の(みぎ)(すみ)視線(しせん)()った。  教室の前側(まえがわ)出入(でいり)(ぐち)付近(ふきん)で、女子(じょし)四人(よんにん)が盛り上がっている。  (みな)で、一冊の本を見ては、高い声で笑ったり、悲観的(ひかんてき)な声を上げたり。  おそらく、(いま)流行(はやり)(うらな)(ぼん)だろう。  休み時間になれば、ドぎついピンク色のカバーを、あちらこちらで見かける。  占いに、そこまで熱狂(ねっきょう)できるなんて、(まった)くもって尊敬(そんけい)(あたい)する。    ()()は、いっそ感心(かんしん)しながら「そう言えば」と、藤津(ふじつ)()(なお)った。 「いつだったか、女子に、おまえの生年(せいねん)月日(がっぴ)()かれたわ」
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