序章 神の放物線 28

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序章 神の放物線 28

 (うわさ)じゃあ、精神科(せいしんか)にも通院(つういん)しちょったらしいし、(くすり)(やま)ほど()んじょって、自殺(じさつ)願望(がんぼう)があって、実際(じっさい)自殺(じさつ)未遂(みすい)を繰り返しちょって――」 「そりゃ、どう考えても、全部(ぜんぶ)(あと)()しじゃろ」  矢儀は、半分(はんぶん)(しら)けながら藤津(ふじつ)の話を(さえぎ)った。 「だいたい()保中(ほちゅう)にそんな病的(びょうてき)生徒(せいと)がおったら、とっくの昔に広まっちょるわ」  田舎(いなか)では、(わる)(うわさ)ほど一瞬(いっしゅん)で広まるものだ。 「やっぱ、そう思う?」    藤津(ふじつ)(うす)(くちびる)(ゆが)め、苦笑(くしょう)している。  
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