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序章 神の放物線 3
声の主と思われる女生徒は、三階の教室の窓から大きく身を乗り出していた。
薄い西日に照らされた横顔が、妙に艶めかしい。長い髪を掻き上げる姿といい、とても中学生には見えない子だ。
珍しく矢儀が女の子に気を取られていると、テラスから投げやりな返事がある。
「掃除が長引いたんで。すぐ行きますって」
「左内」と呼び捨てにされた男子生徒は、テラスの真ん中で、三人の女の子たちと立ち話をしていた。振り返った横顔が、見るからに迷惑そうだ。
一緒にいる女の子たちは、一様に顔を見合わせ、微苦笑する。
すぐに行くと言いながら、左内は再び女の子たちと話に興じ、その場を立ち去る様子はなかった。
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