序章 神の放物線 30

1/1
前へ
/69ページ
次へ

序章 神の放物線 30

 窓の外に目を()り「それにしても、なんで飛び移れるなんて思ったんじゃろ」と、(うそぶ)く。  ()()(あきら)めて、藤津(ふじつ)の視線の先を追った。  二年一組の教室からは、中央棟(ちゅうおうとう)屋上(おくじょう)テラスを、同じ高さで見渡(みわた)せる。  昼休みも残り十分(じゅっぷん)を切ったのに、屋上(おくじょう)にいる生徒はまだまだ多い。  ()()窓際(まどぎわ)に体を寄せ、半分ほど開いた窓から下を(のぞ)いた。  建物(たてもの)沿()って、(とう)間隔(かんかく)で植えられたツツジの木。  真下(ました)のツツジの(あた)りだけが、百合(ゆり)(きく)、カーネーションなどの、(あわ)い色で(にぎ)わしい。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加