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序章 神の放物線 31
事故から一週間。
一部、枯れ始めた献花もあるが、新しい花も後を絶たない。
もし、誤って落ちただけなら、助かっただろうか。
勢いをつけて飛び降りた岡屋多恵は、ツツジの向こう――アスファルトの上に落下した。
歪に曲がった足、頭周りに広がる血溜まり、カッと見開いたままの目。
まだ、脳裏に焼き付いている。
見るんじゃなかったと、矢儀は内心ひどく後悔していた。
最近また、悪夢を見る。
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