序章 神の放物線 34

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序章 神の放物線 34

 藤津(ふじつ)眉根(まゆね)()せ、「うーん」とくぐもった声で(うな)った。    姿勢(しせい)(ただ)し、(むね)(まえ)(うで)を組み、軽く首を(かし)げる。  今だ!  ()()は、藤津(ふじつ)(うで)()いた瞬間(しゅんかん)、すかさず、地図(ちず)手前(てまえ)に引っ張る。  思案(しあん)()れる藤津(ふじつ)は、見向(みむ)きもしない。  おそらく、()()が、真摯(しんし)藤津(ふじつ)の話を聞き始めたからだろう。  ちょっかいを出すための道具(どうぐ)は、もう、どうでもよいらしい。  (おそ)ろしく頭が良くて大人(おとな)びている(わり)に、藤津(ふじつ)は、時々(ときどき)幼稚(ようち)園児(えんじ)(なみ)にわがままになる。
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