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序章 神の放物線 38
しかも、疑問形ではあるが、答えは明らかで反論しようもない。
矢儀が、降参とばかりに首を竦めた時だった。
「矢儀、藤津」と、離れたところから名前を呼ばれる。
左内の声だ。
人集りに視線を遣ると、すでに左内は輪を離れ、すぐ近くに来ていた。
いつも思うが、左内はつくづく見目の良い男だ。
凛々しい眉、力強い大きな目、ぽってりとした唇、まっすぐに通った鼻筋。
それぞれのパーツも見事な上に、測ったような左右対称顔。
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