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序章 神の放物線 4
「ちょっとぉ! 何、無視するん。人の話聞いちょるん?」
「おお、女の嫉妬は怖い、怖い」
傍らで兼行理玖が整った唇を歪ませ、下品に笑う。
女生徒の声は、ますますエスカレートしていった。
「もう! じゃあ、そこで待っちょき。首根っこ捕まえてでも、あんたをグランドに連れて行くけぇ!」
怒りに任せた大声を上げるや、女生徒は腹ぐらいの高さの窓枠によじ登る。
皆が呆気にとられた。
「何してるんですかね。まさか、テラスに飛び移る気とか?」
テーブルの向かいに座る織田村渉が、視線はそのままに問うて来る。緊迫感の欠片もない言いようだ。
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