序章 神の放物線 40

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序章 神の放物線 40

(うし)〟は、生徒(せいと)(かげ)で呼んでいる国語(こくご)教師(きょうし)(うし)()(たけし)愛称(あいしょう)だ。  一癖(ひとくせ)二癖(ふたくせ)もある〝(うし)〟は、図書(としょ)委員会(いいんかい)顧問(こもん)だった。    ()完全(かんぜん)(しら)けている。  なぜに藤津(ふじつ)は、木で鼻をくくった返答(へんとう)をするのか。  ()()仕方(しかた)なく、フォローに入った。 「〝(うし)〟は今日、明日と出張(しゅっちょう)でおらんらしいんよ。ただ、委員長(いいんちょう)からは、もう承認(しょうにん)(もら)っちょるし。〝(うし)〟にも、三回(さんかい)は見せちょるけえ。ほぼ終わっちょる」 「ほっか。すまん、二人でやってくれたんじゃの」  左内(さない)にしては、(めずら)しく殊勝(しゅしょう)だ。
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