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序章 神の放物線 41
気まずそうに佇む姿が、やけに弱々しい。
よく見ると、頬は痩け、首筋が浮き出ていた。
異常な痩せっぷりだ。
やはり、岡屋多恵の転落死は、相当に参っているのか。
「え……っと、大丈夫なん?」と、矢儀は心配になり尋ねた。
「あんまし、気にせんとけよ。周りの言うことも……皆、好き勝手を言うちょるだけやし」
矢儀なりに、精一杯の慰めを口にする。
事故直前、岡屋多恵を軽くあしらった左内に対する見方は、さまざまだった。
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