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序章 神の放物線 42
そもそも、岡屋多恵は一方的に言い寄っていただけで、左内は何も悪くないと擁護する者。
間接的な加害者じゃろ、と陰で非難する者。
どこまで本人の耳に届いているのか。
左内は「ほうじゃの」と笑うが、どこか上の空だ。
視線を矢儀の手元に落とし、「何か調べちょったん?」と、何とはなしに訊いてくる。
矢儀は「明日の部活で行く場所」と、折り畳んだ地図を軽く撫でた。
「土井に、明治頃できた円形状の石跳があるらしいんよ。今でも、立派に水防対策の役目を果たしちょるらしいから、ええ研究課題になるじゃろ?」
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