序章 神の放物線 44

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序章 神の放物線 44

「今ここで言うか!」と、目で(うった)える。  藤津(ふじつ)は、悪気(わるぎ)もなく、しれっと背を向けた。  左内(さない)()けていない。 「冗談(じょうだん)(つう)じんヤツ」と(つぶや)き、目で()()同意(どうい)(もと)めてくる。    冗談には聞こえんかったけどの――と、()()(むね)(うち)(つぶや)いた。  左内(さない)毒舌(どくぜつ)ぶりは、藤津(ふじつ)といい勝負(しょうぶ)だ。  二人が嫌味(いやみ)応酬(おうしゅう)を始めたら、(だま)るに(かぎ)る。  ()()無言(むごん)でノーコメントの態度(たいど)(しめ)すと、藤津(ふじつ)左内(さない)もそれ以上は続けなかった。
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