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序章 神の放物線 45
代わりに、「あんさ……」と、佐内は声を落とし、訊いてきた。
「先週の事故、何か聞いちょる? その――岡屋先輩のこと……」
努めて平静を装っているのか。
左内の端整な顔は、まるで能面のようになっていた。
それにしても、ずいぶん漠然とした質問だ。
矢儀は正直、返答に困る。
互いが、相手の出方を窺い、口を閉ざした時だった。
「おい、矢儀!」と、少し離れたところから名前を呼ばれる。
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