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序章 神の放物線 46
振り返ると、三メートルくらい後方に、隣のクラス――二年二組の兼行理玖が立っていた。
尖った顎を突き出して「ちょっと、いいか?」と、横柄な態度で矢儀を呼び出す。
見目の良さでは、左内と一、二を争う兼行だが、外見の印象は、天と地ほども違った。
どうにも胡散臭く見える原因は、うねっただらしない前髪のせいか、細長い首に切れ長の目が、妙な色気を出しているからか。
「今日は、何を忘れたん?」
矢儀は呆れ気味に先手を打つ。
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