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序章 神の放物線 49
「なんだよ? 左内が聞くと、笑い転げて困るくらい面白い話なん?」
声のボリュームを押さえ、若干、意地の悪い訊き方で話を促す。
しかし兼行は、「そうかもしれん」と、真面目腐った顔で、まともに受け取る。
「あいつなら、作り話じゃろって、腹を抱えて笑うかも」
美少女と見紛うくらい綺麗な顔の中心に、ぎゅっと皺が寄る。
どうして、藤津といい、兼行といい、左内にいちゃもんをつけたがるのか。
全くもって理解に苦しむ。
とにかく今は、石段の話だ。
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