1人が本棚に入れています
本棚に追加
序章 神の放物線 5
しかし、それは、織田村に限ったことではない。
女生徒を遠巻きに眺めている誰もが、少しも慌てていなかった。
それどころか、どこか白けた雰囲気さえ漂っている。
皆、女生徒の奇行をパフォーマンスだと思っているのだ。
矢儀も同感だった。
だいたい、隣接しているとはいえ、建物と建物の間は、七~八メートル近くは開いている。加えて、三階から二階という高低差もある。
どう考えても、飛び移れるわけがなかった。
女生徒は窓枠に手を掛けると、ゆらゆらと立ち上がった。
結構な高さがあるだろうに、まるで怖がる様子がない。
最初のコメントを投稿しよう!