序章 神の放物線 52

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序章 神の放物線 52

 なるほど、機嫌(きげん)(わる)くなるわけだ。  兼行(かねゆき)は、父親(ちちおや)との(あいだ)に深い深い(みぞ)がある――と、少なくとも兼行(かねゆき)自身(じしん)は思っているらしく、普段(ふだん)からオトーサンのオの字も(くち)にしたがらない。  それにしても、未遠(みとお)禁忌(きんき)の石段があるなど、少なくとも()()では知られていない。  兼行(かねゆき)の家は(その)にあるが、父親はもともと未遠(みとお)の人なのだろうか。 「とにかく!」と、語気(ごき)(つよ)めた兼行(かねゆき)は、強引(ごういん)に話を戻す。 「実際(じっさい)、石段から転がり落ちて死んだ人もおるんと。なかなか面白(おもしろ)そうな話じゃろ?」 
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