序章 神の放物線 53

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序章 神の放物線 53

 不謹慎(ふきんしん)にも得意満面(とくいまんめん)()みを浮かべる兼行(かねゆき)に、()()はすぐさま返答(へんとう)ができなかった。  (むね)のツカエを、いきなり()さぶられた気がした。    (しん)(ぞう)が大きく脈打(みゃくう)つ。  動揺(どうよう)のあまり、身体(からだ)硬直(こうちょく)する。 〝面白(おもしろ)そうな話〟に、頭の中で疑念(ぎねん)(じゅう)(まん)した。  冷静(れいせい)になろうと、()()はなんとか息を()く。  一度、意識的に深呼吸(しんこきゅう)した。 「ほうじゃの。俺も知りたいわ。禁忌(きんき)の石段の(なぞ)
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