白銀世界のサタンクロース

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 ことの始めは三日前。  一日早く終わった出張の帰り道、くたびれきってたどりついた東京駅で見てしまったのだ。彼氏……いや、元彼の智也が派手な女の子と腕を組んでホームにいるのを。 「ミレナリオ、超きれーだったね! いつもありがとぉ!!」  高校生くらいだろうか? 智也にしなだれかかり、甘い声を出す少女は、呆然と立ち尽くす美香をあごで指すとケラケラと笑った。 「何、あのオバサン。さっきからこっち見ててキモイんですけどぉ」  慌てて振り返った智也の凍り付いた表情。勝ち誇った少女の顔と対照的だ。 「み、美香!? 出張は明日までじゃなかったのか!?」  うろたえ切った早口が、一度二度の浮気でないことを物語っている。 「ごめん、ちょっとした出来心なんだ……っ!」  裏返った声を振り切るように、ちょうどホームに入ってきた電車に飛び乗ると、美香はスマホを取り出し智也の連絡先をブロックした。
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