キツネ

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キツネ

涙なんか流さないでさ そんな姿は「らしく」ない いつだって(だま)して逃げる様に 狡猾(こうかつ)な二枚舌のこの狐は いつからか素直に生きてみたい、と 「らしく」ない事を(つぶや)いてた たまにゃ虎の()を借る事だって 人を騙しては生き延びてきたのに 今更になって素直になんて出来るのかい? そりゃ自分だって言われなくても分かっている それでも素直に生きれたらなんて思うのは 傲慢(ごうまん)なのかな?だとしたら このまま生きるなんてもっと嫌だ 好かれている自分を好きになりたい 変わろうとしてるこのご時世と共に 君が突拍子な事を言うもんだから この時計さえも(くる)ってしまってる そのため息が物語ってる らしくない事をらしく居たいと 思わず泣き出してしまう いつもならこの感情さえも騙してたのに 嘘つきの世渡(よわた)り上手な君が 急に泣き出すもんだから少しだけ可哀想だと 今までの行動は見逃されないのに 正直でいる君も見てみたいと 自分勝手すぎる僕が言うのもね もし、それが本当なら 信じてみてもいいと これはこやつの専売特許だからと 信じる事が出来ないと あなたはどっちを選択するのかい? 「らしく」ない所まで追い詰められると 「らしさ」を求めてしまう 自責(じせき)の念に()られるまで嘘は必要ないと 誰かが教えてくれた 貴方は「らしく」生きてる?
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