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勉強はあんま好きじゃない
流石の司も今目の前に教師が来た理由が分かったようだ。
司の席というのは窓際の一番前。
教壇からは一番見やすい位置だからだ。 一番前なのにも関わらず、ずっと下を見ていたのだから、教師だって気付かない訳がないだろう。
司は苦笑いをしながら首を傾げ、その教師の事を見上げる。
だがしかし、ここの教師というのはカッコいい人しかいないのか、この英語教師もまたカッコいいという言葉が似合う男だった。
サーファーなのであろうか。 肌の色が普通の人よりも黒く日に焼け、そして顔の方は本当に爽やかそうな感じだ。
だが俗に言われているチャラ男みたいな雰囲気は無い。 いやそこは教師だからこそチャラ男みたいな雰囲気はないという事だろう。
そうだ。 確かにお色気ムンムンな女性教師はいないのだけど、こうしたカッコいい男性教師は多いような気がする。
それなら男子校に馴染んでしまった方が楽なのではないかと悟り始めて来ている司。 とりあえずは自分がカッコいい男性になる為にではあるのだが。
「神田君は俺の授業は苦手なのかな?」
そう先程の授業で純一に言われたような言葉をまた英語教師に言われてしまうのだ。 そう授業が始まった直後にその英語教師は自分の事を伊藤和彦と言っていたようにも思える。
「あ、いや……あ、どーも……」
そうまた同じ事を言われてしまった事で動揺しているのか、司はしどろもどろに答えるのだ。
一日に二度も同じ事を聞かれてしまい、答えに困ってしまっている司。
司はどうにか誤魔化そうと和彦から視線を外し、瞳を空中へと漂わせてしまっている。
「俺には誤魔化しなんて効かないが……まぁ、今日は初日っていう事もあるから許してやってもいいけどな。 今度、注意された時には、皆の前でチューしてやるからなー」
そう最初の方は普通の声で言っていた和彦だったのだが、最後の方は司の耳側でコッソリと言うのだ。
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