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初日の放課後
未来は更に龍の首に自分の腕を絡ませると、龍の顔に近付き龍の頬へとキスをする。
「そうだなー、お前がシたいとこでいいぞ」
そんな甘い会話を繰り広げながら、そのカップルは教室を出て行くのだ。
そんな二人の姿を見ていた司は一つ溜め息を漏らす。
初日にして、こんなにも濃い一日になるとは思ってはいなかっただろう。
男子校は司には合わないとは思ったが、やはり学校を辞める訳にはいかない。
でも男同士でも普通の男女の関係と変わりないことが分かったような気がする。
不思議と龍と未来のカップルを見て来たが、嫌悪感は感じなかった。
どちらかと言えば見ていて飽きないカップルで微笑ましいとも思えてきた位なのだから。 最初は確かにビックリしていたが、やはり好きな者同士がイチャイチャやラブラブしたりする姿はやはり悪くはない。
だが司自身が他の誰かと恋人同士になるのは避けたい所だ。
司はそう思うとイスから立ち上がる。
今は司の周りには誰もいない。 皆、今の時間というのはそれぞれの時間を過ごしているからであろう。
一時間目の終わりに司の周りに来ていた生徒達も今は先程、授業が終わった早々に「部活だぁ! 行くぞ!」と言っていたから、部活に行ったのであろう。
司はまだ初日で部活にも入っていないのだから今は一人だ。
司は未だ筆記用具しか入っていない軽いリュックを肩に引っ掛けると教室を後にし寮へと急ぐ。
今度は朝のように間違えないように寮に戻りたいものだ。
司は自分が自覚している位の方向音痴だ。 だから朝のように道に迷うような事があれば、寮があんなに近いのに何時間もこの校舎内を動き回るか分からない。 とりあえず慣れるまでは誰かと寮に行きたい所だが、今の時間というのは、みんながみんなそれぞれの時間を過ごしているのだから、どうにかこうにか自力で寮へと戻るしかないのかもしれない。
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