平凡でノンケだった俺が男子校ではモテモテ⭐︎男子校パラダイス

え？空き教室から泣くように出て来た生徒？！

　それとほぼ同時に司がいる前の廊下を走って行く一人の人物がいた。　きっとその人物は司と同じ学校の生徒だろう。　そう司と同じ制服を身に付けていたのだから。　そしてその生徒というのは今司が来た方向へと走って行ってしまっていた。

　その直後、司はその生徒が走って行った方向とは逆の方に気配を感じたのか、その方向に視線を向けると、そこには一人の男性の姿があった。

　その男性はどうやら制服では無い所からすると、学校の教師ではないだろうか。

　そう司が今日から通う事になっている学校の制服というのは、紺のブレザーだからだ。　その男性っていうのはベージュ色のスラックスにシャツ姿なのだから、明らかに司が着ている制服とは違うのだから。

　しかし、その教師は何故だかシャツは乱れ、ネクタイまでもきちんと結ばれていない状態で司がいる教室とは違う隣のクラスのドアから顔を出していた。

　司はさっき廊下を走って行った生徒の後に気配がした方へと視線を向けた時に自然と、そこに居た人物と視線がぶつかってしまっていたのである。

　その瞬間、司の方はどうやら目を見開いてしまった所からすると心臓がドキリとしてしまっていたのかもしれない。

　それはやはり見てはいけないような現場を見てしまったのだから、頭の中にある第六感が『ヤバイ』とも思っているのであろう。

　どうにかしてこの状況から司は逃げ出したいとでも思っているのかもしれないのだが、この状況に不思議と体は動けないようだ。

　とその時、

「君はそこで何をしているんだい？」

　そう先にそこに居た男性が司に声を掛けて来る。　そして乱れてしまっている服を直しながら一歩、一歩と司へと近付いて行くのだ。

「あ、えっ？　あ、えーと……僕はその……今日からここに転入して来たんですけど……あの、その……職員室を探していたら、道に迷ってしまったみたいで……今、ここに居るっていう感じなんですけど……？」

　そう視線をその男性から逸らし、こう焦ったように話し始める司。

「あー！　君か！」
「……へ？」

　その言葉に司の方は顔を上げると、その男性というのは、もう司の目の前に来ていたのである。

　司が顔を上げると、その男性っていうのは身長があるのかもしれない。　高校生な司は高校生の平均身長はある。　その司からしても大きく感じる程なのだから。