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遅刻……セーフ？アウト？
司は高校生になったと同時に父親に買って貰った腕時計に視線を移し、
「先生！！ ヤバイって！ 今、八時二十八分だよ！」
「ぇえー！！」
司から時間を聞いた純一はより一層大きな声を上げるのだ。
そう本当に二人にとって非常にヤバイ時間でもある。
純一は司の手首を掴むと足速に職員室へと向かうのだった。
流石は背が高く足も長いっていうだけあるのであろうか。 手首を掴まれて走らされている司は走って純一の速度に付いて行くのが精一杯だったようだ。 そして自分で走るペースじゃなかったせいか息も上がるのも早かったようにも思える。
学校内にチャイムが鳴り響く中、それとほぼ同時に職員室へと入る二人。
純一も司も心の中で「セーフ」と思ったのかもしれない。
司の方は自分が方向音痴だっていうのを分かっていて三十分早く余裕を持って出て来た筈なのに、やはりギリギリに着いてしまった事に変に安心してしまったようだ。
とりあえず司の方は純一が普段使っている机の近くで、純一の用意が出来るのを待っていた。
フッと気付くと職員室にも女性の気配みたいなのはあんまり感じれないようにも思える。
一応、女性教師はいるものの、俗に言われているお色気ムンムンで授業中にスカートの丈を短くして、生徒を誘惑しそうな教師はいないという事だ。
それはそれで司の心の中で青春時代が終わった。 となっているのかもしれない。
本当に高校生というのは花の青春時代なのにも関わらず、こんな男ばかりの所に放り込まれてしまった司。 もう既にため息しか出て来ない。
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