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イケメン教師
純一の方は色々な準備が終わったんだろうか、司の肩に軽く手を置くと、
「じゃ、行こうか?」
「はい!」
純一にそう言われて司の方はそう元気良く返事をすると、司は純一の後に付いて一年C組のクラスへと向かうのだ。
今の司は緊張感でいっぱいなのかもしれない。 先程よりも表情が強張ってしまっているのだから。
誰もがそうだろう。 こう初めて行く場所というのは緊張してしまうもんだ。 そして純一が教室のドアを開けると男子校なのにも関わらず黄色い声が上がる。
その声に司は今まで緊張していたのにも関わらず、益々緊張してしまっているように思える。 しかし男子校なのに、そんなに黄色い声というのが上がるのであろうか。 そこは初めてこの学校に来た司には分からない所だ。
そして司が教室へと入った頃には綺麗にその黄色い声が止む。 一瞬、何が起きたっていうのが分からない位、今は静かな教室になったのだ。
しかし教室内に入ると、本当に男子校だっていうのが分かる。 何処を見ても女子の姿がないからだ。 司はそこにげんなりしつつも、純一が司の紹介をし、それからは席へと案内されると、いつも通りのHRの時間になったようだ。
本当に男子ばかりしかいない教室に、不貞腐れたような表情をする司。
司は頰に手を当て本当につまらなそうに校庭の方へと視線を向けてしまう。 そりゃ、教室内に視線を向けても男子しかいないのだから校庭の方に視線を向けている方がマシとでも思ったのであろう。
高校生になれば青春時代でもあるのだから、好きな女子が出来て男友達と恋バナに盛り上がって、そして告白しないだのするだのって話をして、やっと背中を押されて女子に告白でもして、撃沈させられるか? それともカップルが成立してデートに行ったりしてこう青春時代を満喫する時だろう。 だが司が来たのは男ばかりの男子校だ。 もう一つ男にはロマンみたいなのがあって、お色気ムンムンの女性教師と恋に落ちて大人の階段を登ってみたりっていうのもあるのかもしれないのに、この学校にはさっき職員室を見た時には全くそういった教師というのはいなかったようにも思える。
結局、司が思っていた夢のような生活はこのままでは送れなさそうだ。
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