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七 なぜここに?
「それではお茶に、あ」
「……私も参加する。ああ、どうぞ気にせず語りたまえ」
セリナが地元の令嬢を誘ってお茶会をしていると彼は席についた。だが他の令嬢達は固まってしまった。セリナは呆れた様子で彼に告げた。
「ダメです。王子はあっちでお仕事です」
「それは俺が決めることだ」
そんな彼の耳元にセリナは囁く。
……『今、例の略奪女のその後の話を聞き出しているんです。あとで教えますから』……
「本当だな? では、みなさん、これで」
王子はセリナが焼いたクッキーをパクッと食べ、一礼して退室した。その様子を令嬢達は驚きで見ていた。
「本当に赴任されたんですね」
「驚きですわ、それになんて美形なんでしょう」
「……やめておいたほうがいいですよ。見た目はああですが、厄介ですから……」
お茶を淹れるセリナは青空を見ながら微笑んでいる。
おしまい
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