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歌声はそのまま炎となる。私は真っ黒な竜に姿を変えていた。
神殿を吹き飛ばし、騎士さまを戦に追いやった王さまたちが住むお城をこんがりと燃やしていたら、どうしようもなくお腹が空いてしまった。適当にそこら辺を焼き、お城の食糧庫に首を突っ込む。いい感じに火の通った芋はなかなかに美味しい。塩を振り掛ければなおさらだ。勢いのおさまらない食欲に、少しだけ笑ってしまった。
そんな日々を続けたある日、騎士さまを偲びながらシチューでも作ろうかと思いついた。竜というのは、便利な生き物だ。細かい作業も、魔力を駆使すれば難なくこなしてしまう。
さっそく料理にとりかかり匂いを確かめようと深呼吸した瞬間、吐き気に襲われた。味見どころではない。何だ、何が起きている? 竜というのは、この世界でも最強の生き物だ。それが、猫や犬のように食べられない野菜でもあるというのか?
信じられない思いで、慌てて人型をとってみる。人型すなわち人間と判定されるのかは定かではないが。現れたのは昔の姿によく似た女。少し違うのは、かつての私よりも身体が丸みを帯びていたこと。そして腹が膨れていたことだ。
ああ、子どもを孕んでいたから空腹だったのかと納得した。竜のままなら卵で子どもを産むのかもしれないが、あれだけの肉体を維持するだけの食料を確保し続けるのは難しい。生きることに未練がなかったから適当に過ごしていたけれど、今は私ひとりの身体ではない。だからこのまま人型で暮らすことに決めた。
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