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2、親
伸子の父は、超が付く高学歴だ。だが、仕事が続かない。転職、転職、転職の果てに、スペシャルな学歴は生かしどころがなく平リーマンだ。
それも中小企業。
やたら、教育熱心な父親で試験で下手を打つと鉄拳制裁が待っていた。
たとえ学年で5位以内でも父親に絡まれた。
猿山中学の平均偏差値は40なので、少しお利口だとトップグループに入ってしまう。大して優秀でもないのに勘違いしてしまう。
バカはバカなりに劣等感もある。少し勉強が出来ると妬まれたりもする。
伸子は勉強と関係ないところで色々言われていた。ブスだとかなんとか。
あの頃の伸子の父は、3人の子供の中で伸子にかなりの期待をかけていた。
鉄拳制裁もするけれど、中学生の伸子に哲学書を買ってきたりした。
伸子が中学2年の春から家庭教師も付けた。
今から思えば、平均偏差値40の学校のトップ10なんて大した意味はない。
大半を占めるツッパリたちが下を埋めていた。
試験問題も恐らく簡単だったのだろう。
そんな中でも競争があって、少し勉強が出来る子の親は子供をダシにマウントを取っていた。今と余り変わらない。
これだけは今も変わらない。
子供をダシにしてマウントは、日本の伝統芸能なのかも知れない。
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