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sad sex
◇◆◆◇
ここはニューハーフパブ、アモーレ。
今夜はついてるわ。
あたしの好きなガタイよしな強面。
いいわー、めちゃくちゃタイプ。
お名前は野口剛さん。
「さ、どーぞ、おつぎします」
この方を接客するのは今回で2回目、しかもあたしを指名してくれた。
「おお、ところで……この店はショバ代払ってねぇな」
あたしはウキウキなのに、彼は萎える事を仰る。
「あらー、野暮なことはよしましょうよ、今はほら、警察がうるさいから」
暴対法で、お巡りさんからみかじめ料は払っちゃ駄目って言われてる。
「そんなこたぁわかってる、法律がうるさくなったのは確かだが、ここらは昔っから俺らの縄張りだ、他の店は内緒で払ってるぜ」
剛さんは遠回しに圧力をかけてくる。
けれど、ママからそういうのは応じちゃ駄目って言われてるし、なんとか誤魔化さなきゃ。
「あのー、ごめんなさいね、それはできないの」
「そうか、俺らもよ、あちこち締め付けられて、シノギが減っちまった、このままじゃ解散に追い込まれちまう」
オラつくかと思って身構えてたら、気落ちした様子で泣き言をいう。
ヤクザが稼げなくなって、解散に追い込まれてるのはあたしも知ってる。
弱小な組は特に厳しい。
「時代の流れかしら、だけど……あたしはそういう人だって必要だと思う、皆が嫌うような汚い仕事をしたり、用心棒になってくれたり」
剛さんのようないい男がいなくなったら、ガッカリだわ。
「よくわかってるじゃねぇか、気に入った、ミライ、これから付き合え」
同情するような事を言ったら、みかじめ料の事は抜きにして誘ってきた。
「えっ、いいの?」
うちの店は性的なサービスは無しだけど、誘いがあれば連れ出しはOKになっている。
「いいから言ってるんじゃねぇの、来るか?」
剛さんは呆れ顔で聞いてくる。
「勿論よ、はい、行きます」
そっこーでOKに決まってるわ。
ママに訳を話し、彼についてお店を出た。
彼はまっすぐに近場のホテルに行き、そこに入った。
部屋に入るまでめちゃくちゃドキドキしていたわ。
あたし達のようなニューハーフは、セックスする機会はそんなにない。
そういうお客さんが少ないのもあるけど、もしその気があっても、あたしを気に入ってくれなきゃ意味がないもの。
あたしは体を変えているの。
胸は簡単ね、シリコン入れたらいいだけだし。
変えてるっていうのは主に下の事。
竿と玉を切り取って、鼠径部に穴を作った。
だから、2人でシャワーを浴びたらそのままベッドイン。
剛さんの体は思った通りガッチリしていて、ナニは真っ黒だわ。
やっぱり経験豊富なのね。
あたしはその黒光りする竿を頬張った。
男臭い匂いが堪らない。
興奮して初っ端からしゃぶり倒していたら、剛さんが上に乗れって言ってきた。
「はい、じゃあ……」
頷いてローションを手にした。
残念だけど、どんなに興奮してもあたしは濡れないの。
そりゃそうよ、作り物の穴なんだから。
ローションを竿に塗りたくり、自分のあそこにも塗った。
局部の形はちゃんと作られていて、濡れない事や妊娠しない事を除けば、本物の女と変わらない。
騎乗位で跨って竿を握り、ゆっくりと中に入れていった。
「おお、締りがいいな」
剛さんは褒めてくれた。
嬉しくなって一気に取り込んだら、背中にビリッとした刺激が走った。
「あぁっ」
反射的に仰け反ったら、剛さんは上体を浮かせて胸を揉んできた。
「いい体だ」
「剛さん……、凄い、大きい」
ゆっくりと腰を動かして剛さんを味わうと、凝り固まった欲求が解れていくような気がした。
「そうか……、なあミライ、俺のスケにしてやってもいいぞ」
剛さんは下から突き上げて言ってくる。
「あっ、あっ、うれしい」
剛さんとお付き合い出来るなら、こんなに嬉しい事はないわ。
「ようし、決まりだ、ははっ」
剛さんは起き上がって片腕で背中を抱くと、体を屈めて胸をしゃぶってきた。
「あっ、ああ、だめぇ、感じちゃうー」
舌がぬるぬる這い回り、突起を弾いてくる。
「へへっ、悪くねぇ、お前はもう俺のモノだ」
剛さんは胸を弄びながら、下からズンズン突き上げる。
あたしは性感帯としてナニの一部を残し、花芽を形成したんだけど、剛さんは恥骨でそこを擦りあげる。
「だ、駄目ぇ、イク、いっちゃう」
やっぱりよく知ってる。
きっとニューハーフを抱いた事があるのね。
あたしはマジでイキそうになってきた。
「イケよ、中に出すからな」
耳元で言われ、ドスの効いた声が快感を煽った。
「ああんっ!」
下半身がビクビクして快感が溢れ出した。
「いったか、じゃ、出すぞ」
剛さんはあたしを抱いて激しく上下に揺らした。
半狂乱になって喘いだら、彼のナニが深く入り込んで止まり、ビクッビクッと脈打った。
「ひ、ひあぁ、凄い、沢山出てるぅー」
逞しい体にしがみついて快楽を貪ったら、彼は満足がいくまで出していたわ。
こんなに気持ちいいセックスは何年ぶりかしら。
いいえ、手術して体を変えた後は一度もなかった。
痛い思いをしたのに、結局、後ろの穴でしかいけなかったの。
悲しかったわ。
あたしは大満足して、彼と抱き合ってキスをした。
◇◇◇
剛さんとお付き合いするようになって、あたしは彼の都合がいい時に呼び出された。
彼はあたしがお店にいる時も、お構い無しに電話してくる。
周りのみんなは心配したわ。
ヤクザだから、あたしが何か危害を加えられるんじゃないかって。
よしなさいってそう言うの。
そんなの……あるわけがない。
彼は優しくしてくれる。
剛さんとは、会えばホテルに直行した。
そんなお付き合いが始まってひと月が過ぎたある夜、また接客中に剛さんから電話がかかってきたの。
あたしは後輩に客を任せてすぐにお店を出た。
これでデートするのは7回目になる。
剛さんは車で迎えにきていたので、お店を出たら即助手席に乗り込んだの。
またホテルに直行だと思って黙っていたら、今夜は全然違う方向に向かっている。
「あの、いつもと違うのね」
「ああ、今日はな、特別な相手を紹介してやる」
「特別な相手?」
剛さんじゃなく、他の誰かと寝ろって事かしら。
不安になってきたわ。
だけど、彼に嫌われたくない。
あたしは彼のいう事を聞く事にした。
連れて来られたのは山中の工事現場だった。
何故こんなところに? 不審に思いながら車を降りた。
彼はあたしをプレハブ二階建ての建物に連れて行った。
あたしは彼について中に入ったけど、汗臭いすえた匂いが充満してる。
「兄貴、待っておりやした」
暗闇からヌッと男が出てきてびっくりしたわ。
下っ端らしき若い男が剛さんに向かって頭を下げる。
「おお、2階でやるからな、しっかり撮れよ」
剛さんは2階でやると言った。
つまり2階で抱かれるって事? しかも撮れってなんの事かしら。
第一、こんな場所に誰がいるの?
「へい」
不安が増してきた時、下っ端が手にビデオカメラを持ってるのがわかった。
なにか嫌な予感がする。
「ミライ、来な」
「あ、はい……」
それでもあたしは剛さんについて行った。
2階にあがったらさっきと似たような部屋に通された。
明かりはついてるから部屋の中が見えたけど、殺風景な畳敷きの部屋に男達が6人いる。
薄汚れた作業着を着ていて、あたしは何だか怖くなってきた。
「おい、今夜は慰問だ、お前ら、こいつはニューハーフだが、体は女になってる、へへっ、溜まってんだろ? 好きにやって構わねー」
かたまっていると、剛さんが耳を疑うような事を言った。
「え、あの……あたし」
「ミライ、俺の為に働いてくれるよな? 金が必要なんだ」
働く……。
つまり、この男達とやれって事なのね。
剛さんはあたしにこの男達と乱交させて、それを下っ端に撮影させるつもりなんだわ。
なんだ……そっか。
本性が見えちゃった。
あたし、馬鹿みたい。
ニューハーフと本気で付き合う男なんか、いる筈がないのに。
「ごめんなさい、あたし、帰ります」
ものすごく悲しいけど、別れを決意して剛さんに言った。
「そうはいかねぇ、お前は俺のもんだ、散々楽しませてやって、今更別れるのは無しだぜ」
なのに、睨みつけて脅してくる。
頭にきたわ。
「あたしは物じゃない、感情がある人間なの」
言い返したら、彼はニヤリと笑って内ポケットから何かを取り出した。
それは有名なあの薬だった。
背中にヒヤリと冷たいものが走り、あたしは走って逃げようとした。
けれど、無駄だった。
捕まって薬を使われた。
「あたし……、あなたの事本気で好きだったのに……酷い」
薬が回る前に彼に言った。
「構わねぇ、好きでいろ、可愛がってやるからよ」
彼はあたしを利用するつもりでいる。
そんなの嫌に決まってるわ。
腹が立って仕方がなかったけど、薬が回って気分がハイになってきた。
剛さんは裸になれと言う。
あたしはヘラヘラ笑いながら裸になった。
男らはギラついた目であたしを凝視してる。
本物の女を見るような目で……。
堪らなくなって彼らのひとりに抱きついた。
そしたら、その男は胸にしゃぶりついてきた。
痛い位揉んで強く吸う。
そんなに興奮されたらあたしも興奮しちゃう。
吸われる度に体がびくついたわ。
悶えていたら、別の男があたしを仰向けにした。
足をガバッと開かされ、男は股に顔を埋めてくる。
その男も酷く興奮していて、作り物の局部をびちゃびちゃ舐め回す。
体が疼いて堪らなくなり、手を伸ばして近くにいた男の股間を弄った。
そしたら、誰かが『おい、やらせろ』って言ったわ。
あたしは四つん這いにされた。
前にきた男がナニを口に押し込んでくる。
「ふ、ううっ」
アンモニア臭がキツいし、溝に垢がこびりついてる。
それなのに、あたしは逆に昂っていた。
後ろから硬いナニを突っ込まれ、ローションがないから痛かったけど、後ろの男は物凄く興奮していて、お尻に腰をぶち当ててあっという間にあたしの中で果てた。
ビュクビュクあったかい体液を注がれたら、頭がふわふわして気持ちよくなった。
口の中の竿も元気よく跳ねて体液を飛ばしてきた。
相当溜まってたらしく、匂いがキツいしドロッと濃い。
それでもあたしは、大量に出てくるドロドロを夢中になって飲み干した。
それからはもうめちゃくちゃよ。
男らは代わる代わるあたしを貫き、口にナニを突っ込んだ。
四つん這いから仰向けになり、口と体内で体液を受け止めたら、次は騎乗位。
上下の口は常時ナニで塞がれている。
快感に溺れ、濃厚な種を繰り返し受け止めたけど、彼らの精力はなかなか尽きない。
お陰であたしはもうヘトヘト。
生臭い体液に塗れ、体中ドロドロになっていった。
座位で体を揺らして朦朧となっていたら、剛さんが男らにストップをかけた。
あたしはやっと男達から解放され、剛さんに支えられてシャワー室へ行った。
「よくやった、いいのが撮れたぜ、お前は女って事で売りに出す、ミライ、お前のお陰で俺は助かった、俺の為に働いてくれてありがとな」
剛さんはあたしの体を洗いながら礼を言う。
あたしの体を優しく撫でる手の感触が、負の感情を拭い去っていった。
あたしは……彼の役に立っている。
◇◇◇
あんなハレンチなところをビデオに撮られた後も、あたしはいつもと同じようにお店で接客していた。
ただ、新しい仕事ができたの。
皆には内緒だけど、慰問。
剛さんが喜んでくれるから、あたしは頑張れる。
行く場所は毎回変わるけど、そこにいる男達は最初の男達と同じで、皆飢えている。
あたしはナニを頬張って笑顔でカメラ目線。
そんなあたしを……剛さんは優しく見守ってくれる。
だからあたしは、剛さんの為に生きるの。
それが体を変えたあたしの生き様。
剛さんはあたしが一生懸命働けば働く程、喜んでくれる。
ショバ代の事も言わなくなった。
あたしは彼の喜ぶ顔が見たい。
新しい彼氏ができれば、状況は変わるかもしれないけれど……。
きっと無理ね。
あたしは剛さんのシノギの為に働いてるんだもん。
悲しくなんてない。
本当に彼の笑顔が見たいだけなの、嘘じゃないわ本当よ。
あたしはアモーレで働くミライ。
名前通りに未来へ向かって歩むの。
きっとこれからもずっと……。
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