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 不時着した小型宇宙艇は、緑が広がる惑星に静かに横たわっていた。  ラドはコクピットでモニターを見つめ、環境データを確認する。 「大気は問題ない」  彼が呟くと、副操縦席でリックが「じゃあ、ひと安心ですね」と笑い、ハッチを開けて外に出た。  しっとりとした空気が肌に触れるなか、ふとリックの鼻を突くのは焦げた匂い。 「あちゃ~、ケーブルが焦げてる。不時着できただけでも万々歳って感じですかね」  状況に似合わない彼の陽気な声を聞きながら、艇内のラドは窓越しに広がる大地を見て眉を寄せる。目の前のデータは問題ないはずなのに、なぜか心がざわついた。 「……何だろうな、この感覚は」 「艇長、とりあえず爆発はしなさそうです」  胸に浮かんだ違和感は一度頭を振って追い払い、ラドは再びモニターに視線を戻して機器の不調を確かめる。 「……了解した。通信も生きている。母艦へ」  ラドの短い指示に、ケーブルの回路ブレーカを切っていたリックは「救難信号入れますね~」と軽やかに応じて、手早く緊急用パネルで信号を送信した。それから、ぐっと腰を伸ばして茂る緑の大地を振り返る。 「すごい星だな……」  さっきいた惑星とは大違いだ、と呟き、リックは生い茂る自然を暫く眺めていたが、ふとコックピットに視線を向けると、操縦席に座ったままのラドは窓越しに遠くを見つめていた。  どこか物思いにふける彼をリックはじっと見つめ、やがて軽く笑みを浮かべる。 「ま、俺たちの本分は惑星探査ですしね。見に行きます?」  ラドはひとつ目を瞬くが、静かに頷き、二人は広がる緑の大地へと足を踏み出した。
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