憑く

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「ただいま」  理人の声が聞こえるたびに、絶望する。  私はいつになったら、自由になれるのだろう。 「お帰りなさい」  応える声が恐怖と苛立ちで震える。    そんな日々を繰り返すうち、ふと気付く。  あれから私は理人に一度も暴力を振るわれていない。  一日何をしていたかの行動チェックも、スマートフォンの検査も、ない。  まさか。  そんなことが、あるはずがない。  殺したのではなく、殺された、なんて。
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