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さっき見た芸人の姿が、何度も頭の中でリプレイされる。
「そんなこと、あるはずがないだろ!」
そんなこと、あるはずがない。
昨日の夜、確かに殺したはずなのに。
殴られながら、蹴られながら、ずっと計画していた。
一生懸命考えて、計画をたてて、昨晩ついに実行したのだ。
「ビール、あったっけ」
あわてて冷蔵庫から冷やしてあったグラスと、ビールを取り出す。
グラスの縁に缶ビールがカチカチと当たる。
手の震えが止まらない。
私の手から乱暴にビールを奪い取ると、理人は自分でグラスに注いだ。
無言で、あおるようにごくりごくりと飲み干していく。
上下する喉仏、間違いなく生きている。
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