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怒鳴り声に心は震え、冷たい言葉は心に刺さる。
痛みに息を詰め、抗う心はむしばまれる。
ゆっくりゆっくり、殺されていくのだ。
その日を待つぐらいなら、殺される前に、殺してしまおう。
「理人……」
声がかすれる。
とたんに顔をしかめ、はあーと大きな息をついた。
その動作だけで「うるさい」と言われたとわかる。
理人は立ち上がり、私を無視して横をすり抜け、バスルームへ消えた。
バスルーム。
錆を含んだ生臭い匂い。
流れる水は赤い。
あの場所に平気で入れるなんてどうかしている。
水音を聞きながら、私は決意する。
また、殺そう。
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