かつての夢

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 「目が覚めた?」  …え?  窓辺の横にある机に、猫が座っている。  ずいぶんと長い間、夢を見ていた気もする。  ただ、記憶はすぐそばにあった。  さっきまでいた場所。  頭の中に残っている時間。  ずっと遠い世界の街並みが、視界の先に横たわっていた。  まるで夢の中の出来事だった。    街が消えるなんてあり得ない。  ましてや、猫が喋るなんて…  「ひゃッ…!」  部屋の中に猫がいること。  まず、そのことに驚いた。  色々とこんがらがっていた。  この「部屋」は、私が高校の時に住んでいた部屋だ。  東京田町に住んでる親戚のマンションは、東京タワーや港区の街並みを一望できるマンションだった。  地上34階建てで、全180邸の免震タワー。  港区に誇る情景のタワーとして、東京都内ならではの大都会の華やかさを持っていた。
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