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シーツをはぐってベットから飛び起きる。
その足で、カーテンを開けた。
久しく見ていなかった東京の景色に、目を奪われた。
「なんで驚いてるの?」
「…え?」
「キミが望んだんでしょ?この場所に来ることを」
猫は不思議そうな目で、私を見ていた。
この「場所」に来ること。
視界に入ったのは、一枚の張り紙だった。
部屋の壁に貼られた、「インターハイ出場」の手書き文字。
…懐かしい
そう思うと同時に、少しだけ胸が締め付けられた。
どこかでわかってた。
この場所が、遠い過去のものであるということ。
ずっと遠くに残してきたものであること。
振り返ろうとは思わなかった。
あの日々のことを。
飛べなくなった、踏み切り前の景色のことを。
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