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「ちゃんと謝った方がいいよ」
「わかってるって」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
野球はチームスポーツだから。
彰君は、彼と喧嘩した後にそう言ってた。
どんなにいい選手がいても、チームがまとまってないと試合には勝てない。
キャッチャーっていうポジション柄、自分よりも周りに対して気を配ってた。
打つとか投げるとか、そんな単純じゃないんだなって思った。
不思議だったけどね?
個人競技しかしたやってこなかった私にとって、「チームプレー」っていう言葉は。
「で、こんなところでなにしてんだ?」
あどけない表情で、そう話す。
理由もなくここにきたわけじゃない。
この河川敷。
多摩川沿いの、東京の街並み。
私にとって、ここは特別な場所だった。
“私たち”って言った方がいいかもしれない。
特別で、思い入れがある場所で…
大人になっても、ずっと忘れずにいた。
羽田空港から飛び立つ飛行機の音が、ずっとこの耳に残ってた。
ここは私にとって、「夢」が残ってる場所だった。
夢を思い出せる場所だった。
彼に会えるかもって思ったのは、この場所が行き慣れた場所だったからじゃない。
もちろんそれもあったけど、なんていうかさ…
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