あの日、あの時

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 ……………………  ………………  …うそ……でしょ……?  目が点になった。  眠たくてしょうがなかった頭が、急に覚めた。  「晴翔」  その言葉が、——名前が、電話越しに聞こえてきた。  あり得るわけない、って、思えた。  晴翔はクラスメイトで、私が高校に入ってから、初めてできた友達だった。  ハル。  彼のことを、そう呼んでた。  …そういえば  私はハッとなって、昨日のことを思い出した。  彼から電話がかかっていた。  当時私と彼は喧嘩中で、口も聞きたくないと思っていた。  なんで喧嘩してたのか、なんでそんなにムキになってたのかは、今となっては思い出せない。  ただ、確かだったのは、あの頃、あの地平線の続く空の下で、別々の道を歩もうとしている私たちがいた。  私たちは、お互いの時間でいっぱいいっぱいだった。  私自身は、人生で初めて挫折を味わっていた時期だった。  彼は彼で、自分の夢を追いかけていた。  …もしも時間を戻せるなら、きっと私は、あの日、——あの事故の前日の電話を、無視することはなかっただろう。  “何を話せばいいんだろう”って思うよ?  だって、絶賛喧嘩中だったわけだし。  何しにかけてきたの?  そういう感情が、ずっと頭の中にあった。  絶対出てやるもんかって思った。  だから、結局出なかったんだ。  彼からの電話は2回あった。  その、どちらも。
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