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テレビの中に映る光景を、今でもはっきりと覚えてる。
燃え上がる機体に、折れ曲がった翼。
飛行機は原型を留めていなかった。
滑走路は燃えた機体によって黒く汚れていて、とてもそこに飛行機があったとは思えなかった。
あれからちょうど10年。
その特集番組が、たまたまつけたニュース番組で放送されていた。
もう10年も経つんだという感覚と、まだ、10年しか経っていないんだなって気持ち。
できれば、あの事故のことは忘れてしまいたかった。
思い出したくもなかった。
どれだけ悲しくたって、時間は巻き戻せないんだ。
いつだって、それは同じだった。
時々、彼の夢を見る。
東京暮らしに馴染めずにいた私を、彼はいつもからかってきた。
いつも、教室の中で騒がしかった。
“鬱陶しい“
それが、彼と出会った時の印象だった。
だって、出会って早々に呼び捨てをしてくる人なんて、今までいなかったから。
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