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◇◇◇
「…で、結局どうなんだよ」
「何が?」
「俺の10年後だよ」
「さあ」
「…さあって、知ってるんだろ?」
「信じてくれてないんでしょ?」
「…いや、まあ、そりゃあ…」
「ほら。じゃあ言っても意味ないじゃん」
「信じてる信じてる!」
「嘘ばっか」
ハルと私は、川崎駅から電車に乗って、また東京に戻った。
私たちが通ってた高校の最寄り、『潮見駅』。
川崎駅から潮見駅に行くには、一度乗り換える必要がある。
東京駅まで乗って、京葉地下2番ホームへと歩く。
田町駅から通ってた私も、高校に行く時は東京駅から乗り換えてた。
大体30分くらいかな?
彼の場合は、もう少しかかってた。
「せめて卒業した後のことくらい教えてくれよ」
「ダメ」
「なんで?」
「さっき私に言ったこと覚えてないの?」
「なんか言ったっけ??」
「自分の胸に聞いてみなよ。自分で言ってたじゃん。これからのことをさ」
教える気はなかった。
そう言うと、少し語弊があるかも。
彼ならきっと、自分の夢を叶えたと思う。
あの日事故が起こらなければ、10月のドラフト会議で指名があって、そのまま…
「せっかく信じようって思ったのに」
「無理して信じてくれなくてもいいよ」
「…ま、あり得ないしな。普通に考えて」
「私もそう思う」
「…そう思うって、自分で言い出したのに??」
おっしゃる通りだけども。
いまだに夢じゃないかって疑う自分がいるんだ。
あの猫がどこに行ったのか知らないけど、ずっとふわふわしてるっていうか…
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