未来の記憶

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 高校に着いて、彼はグラウンドに帰っていった。  練習が終わったら、カラオケにでも行くぞ!って手を振りながら。  …カラオケ…か  最近は行ってないなぁ  高校を卒業してからは、友達ともあんまり会わなかった。  同窓会に誘われたことも何回かあった。  その度に断ってた。  こっちに住んでるんだったら、そういう話にもまだ乗り気だったと思う。  ただ、広島だったしね。  新幹線の片道でも4時間はかかる距離で、おまけに高い。  電車で行ける距離でもない。  そうなると、自然と行かなくなるっていうか、気軽に行けないっていうか…  「詩穂!」  会いたい友達がいた。  クラスメイトで、高校で1番仲が良かった友だち。  彼女は陸上部でもなんでもなかった。  たまたま同じ学科で、同じ高校に通ってたってだけ。  一年の頃に席が近くて、自然と話をするようになった。  ハルと同じく、彼女も都会育ちだった。  千葉の浦安市っていうところに住んでる子だった。  海沿いの住宅地で、何度か遊びに行ったことがある。  千葉って言っても、ほとんど東京だ。  ちょうど境目なんだ。  東京の江戸川区と、浦安市は。
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