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絵空事…。
現実には起こり得ない事の例え。
とある町に美術館が作られた。
そんなに大きくはないが、地元出身の芸術家の作品等を展示する事になっている。
町起こしも兼ねて、町中にも彫刻等が置かれた。
美術館の開館に当り、「地元の為なら」と多数の芸術家から作品が提供された。
その中に奇妙な絵画があった。
題名は『絵空事』、作者は不明…。
関係者はなぜこんな無名の絵画があるのか?と首を捻った。
しかし、ここの館長がこの絵画を観るや否や、「この絵はここの目玉作品になる!」と絶賛し、一番目立つ場所に展示する事になった。
その絵は、巨大なキャンバスに沢山の人達が描かれている。
人種も性別も年齢もばらばらな人達だ。
どの人も今にも動き出しそうなくらいの表情で描かれている。
ただ、その表情が苦痛に満ちているため、目を背ける人も少なくない。
賛否や好みがはっきり分かれる作品だ。
美術館が開館すると『絵空事』はたちまち話題となった。
ネットでは賛否両論で、ある評論家は「素晴らしい」と言い、ある画家は「気持ち悪い」と言った。
その論争のおかげで、この『絵空事』を観ようと町に沢山の観光客が押し寄せ、町起こしは成功したかに見えた。
しかし、この絵には誰も知らない秘密があった。
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