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『ようこそ、『絵空事』へ…』
どこからともなく声が聞こえた。
「…誰だ!ここは何なんだ!」
男は叫んだ。
『ここは『絵空事』の中の世界…』
「…絵空事?…あの絵の中だと!?
そんな事があるかっ!!」
男は信じたくなかった。
『皆さん、そう言いますが…』
「ふざけるな!」
『ふざけてなどいません…
この絵はまだまだ未完成なのです
貴方のようにこの絵に魅了された人を集めて、この絵の一部になってもらっています
『絵空事』の完成の為にご協力を…』
「すぐにここから出せ!」
男は叫び続けたが、声はもう聞こえなかった。
男は次第に身体の自由を奪われ、固まっていく感覚に恐怖した。
「…なんで…こん…な…」
『絵空事』に描かれている人の表情が苦痛に満ちている理由は分かったが逃れる事は出来なかった。
「見て、この絵!凄いわ!
みんな、まるで生きているみたいよ」
「これかぁ…ネットで盛り上がってるやつ…
でも、なんか不気味な絵だな…」
この二人もまた『絵空事』に魅入られた。
この不思議な絵は日々成長している。
だがしかし、それに気付く人はいない。
気付いた時には絵の中にいるのだから…。
end
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