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しばらくして、おっさんは警察官たちに連れて行かれた。
乗客たちは車内から出ることをゆるされ、俺も女性と一緒に電車から降りた。
「あ、ありがとうございます……名前はなんと言うんですか?」
「お、俺、山崎拓海です。千葉県に住んでます」
「山崎さんですか……私は堀越恵里菜です。私、入社面接に行く予定なんですけど……どうしましょう……」
「そういうときは電話すればなんとかなると思いますよ。大企業なら別の日を用意してくれるはず……」
「……お話中すみません」
知らない声がした方を見ると、さっき「さつきさん」と呼ばれていた女性警察官が立っていた。
「……あなたはついさっき暴行罪で捕まった男性が痴漢をしていたところを見たんですよね?」
「はい、見ました。この人のスカートをめくろうとしてたんです!」
「そうですか。では、署で詳しく話をしてくれませんか?」
あ、これは厄介なことになったぞ。もし署に行ったら、確実に面接には間に合わないだろう。
でも、断って怪しまれたら怖い。
断る勇気も度胸もないので、俺は署に行くことにした……
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