5 街の妖怪たち、四神の力、有名人

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「うわっ」俺は目を覆う。  目を開けると、梓さんは人間の姿に戻っていた。 「こうしないと移動術式がうまくいかないから……まあ「変化・常(へんか・じょう)」に「移動」という高度な式を組み合わせてるせいだと思うけど」  さっぱり理解できないが、とにかく「キーホルダーの姿では移動術式が使えない」ということだけはわかった。 「まあとにかく、移動術式を使ってくださいよ……誰かに見られる前に」 「わかったよ」  そういうと床に八角形の形をした白い魔法陣が現れる。  そして魔法陣の光は俺と梓さんを包み、俺はゆっくりと落下していった……    ▽ △ ▽  光が明けると、そこは俺がこの前仕事を引き受けた高楼の前だった。 「ほら、着いたよ」 「……どうしてラーメン屋の前じゃないんですか」 「君に妖怪街(ようかいまち)の景色を見せたかったんだ……ほら、きれいでしょ?」  梓さんは階段の下に広がる景色を見る。  この前の夕暮れの景色よりは劣るが、たしかに美しい城下町の景色がそこにはあった。これが梓さんの言う「妖怪街」なのだろう。だが、俺の空腹はもう限界だった。 「……たしかに綺麗ですけど、もうそろそろあなたの言う「おすすめのラーメン屋」に連れてってくださいよ」 「わかったよ……じゃ、ついてって」  そういうと梓さんは俺を置いて階段を下りていく。ほんと、変わった人だ……  まあ、ついていくか。   ▽ △ ▽  梓さんは下のほうで待っていた。空腹が限界だから、階段を下りるだけでもかなりつらい。  階段の下には立派な門があった(上からだと死角になっていたようだ)。だが、鍵のようなものは見当たらない。  どうやって開けるんだろうと思っていると、梓さんが門に手をかざした。  ガガガガガ~。  音を立てて門が開く。どうやら生体認証のようなものがあるらしい。 「早くいかないと閉まるよ」  すでに門は少しずつ閉まり始めている。俺は急いで通り抜けた。
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