5 街の妖怪たち、四神の力、有名人

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 門の向こうは時代劇でみる宿場町のような光景が広がっていた。通行人たちもみんな着物姿である。  (スーツ姿は目立つな……声かけられませんように)  俺は心の中でそう祈ったが、祈りは届かず、10歩も歩かないうちに声をかけられた。 「あらあなた、その服、どこで手に入れたの?」  声をかけたのは着物姿の女性だった。首が普通の人の2倍はある。ろくろ首、というやつだろうか? まあとにかく、俺が四神の仮親だとバレることだけは避けたい……  そう思案しているうちにも、女性は続けた。 「……もしかして、外の世界の人?」  ああ、最悪の質問きた…… 「はい」と言ったら女性特有の長話に付き合わされそうだし、「違います」と言ってもそれはそれでこのスーツ姿をどうやって弁解したらいいのか見当もつかない。  どうしよう――と頭の中がパニックになりかけた時、梓さんが俺の肩をぽんと叩いて、爆弾発言(少なくとも俺にとっては)を放った。 「うん、拓海くんは四神の仮親だよ。一昨日就任したばかりの新人さ」  おいおいおい――! なんでそんなこというんだ――っ! 「ええっ……」  俺が困惑の声を上げているの気にせず、ろくろ首の女性は黄色い声を上げた。 「え、そうなの!? ああ、帰ったらみんなに自慢しなきゃ!」 「え、みんな俺が四神の仮親だって知ってるんです?」俺は梓さんに聞く。 「まあ妖里(ようり)新聞の一面になったからね。まあ写真は乗ってないから、見てすぐわかるというわけではないけど」  梓さんは小声で言った。その間にもろくろ首の女性は俺に聞く。 「卵はもう孵ったんです?」 「いや、まだです……まだこのリュックの中に入っています」 「じゃあ、見せてくれません?」 「いいけど」梓さんが割って入った。 「見るだけでお願いね」
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