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俺たちは一番奥のカウンター席(目立つことを避けたかったのだ)に座り、リュックをカウンターの下のカゴに入れた。
「何にします?」
「えーっと……おすすめってありますか?」
「この「一反木綿塩ラーメン(短め)」ってやつがおすすめでっせ!」
「短め」とはどういう意味あいなんだろう、と俺は思った。
もしかして、めんがめちゃくちゃ長いとか?
まあ、それは来たらわかる。ちょっとどんなのかも気になるし、これにするか。
「じゃあ、それの普通で」俺はそれだけ注文した。
「僕は極長チャーシュー塩ラーメンの大盛で」梓さんも手慣れた口調で注文した。
「了解でっせ! あとこれ、お冷っす」
錦さんは氷の入ったお冷を俺たちの前に置き、それからめんをゆで始めた。
やはりこの道のプロなのか、ものの3分ほどで俺たちの前には湯気がもわもわと立ち上るラーメンがおかれた。
「へいおまち!」
のどが疲れている素振りなど一ミリも見せず、やはり威勢がある声で錦さんは言った。
俺はいかにも暑そうなその見た目に少しためらったが、勇気を出してめんを箸で引き上げた。
しかし、いくらめんを引き上げても、めんの端っこが見えない。
ついに手の長さが足りなくなったが、めんの端っこは見えなかった。
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